この記事を見ている方は猫を飼っている方が大半だと思います。
その中に「今まさに猫が玉ねぎを食べてしまった疑いがある」という緊急性の高い方もいると思うので結論を早急に書きます。
落ち着いて、出来る限り病院で診てもらう方法を探して下さい。
かかりつけの病院が休診日だったり、現在の時刻が夜で夜間診療に対応していないのであれば、他の病院を探しましょう。
絶対にやってはいけないことは様子を見ることです。
特に、沢山の量を食べてしまった場合は要注意です!
玉ねぎの毒性は猫にとって非常に有害で刻一刻と症状が悪化します。
玉ねぎを食べて猫が死亡するまでのケースは珍しいのですが、万が一を考えて後悔のないように行動して欲しいです。
強く訴えているのには理由があり、実際に私の近くで玉ねぎを食べて亡くなってしまった猫がいたからです。
玉ねぎが猫に危険な原因
危険な物質
タマネギなどのネギ属には、タマネギの香味と関係する物質の
n-プロピルジスルファイド
アリルプロピルジスルファイド
などが赤血球のヘモグロビンを酸化する作用があると言われています。
これにより、赤血球の脂質膜がダメージを受け、赤血球内にハインツ小体が形成されます。
そして、溶血性貧血や血色素尿などを惹き起こすことによるものとされています。
症状
意気消沈、下痢、嘔吐が主な症状です。
さらに貧血と血尿が起こります。
飼い主は、 意気消沈、下痢、嘔吐、発熱などの異常には気づく人が多いです。
血尿が出ている場合は、摂取量がかなり多いと思われるため、玉ねぎを食べて猫が体調を崩した際にはトイレをチェックするようにしましょう。
摂取量にもよりますが、発症までに短くて半日から長くて数日かかることも多いです。
慢性になると、症状は黄疸から肝臓機能の低下も起こしてくることがあります。
玉ねぎを食べて死んでしまった猫
冒頭でも記しましたが、古くからの友人の猫が玉ねぎを食べて亡くなってしまいました。
私自身も友人宅を訪れてはその猫を可愛がっていたので、訃報を聞いた時は大変ショックでした。
「あれ?今日は〇〇(猫の名前)いないの?」
「ちょっと前に死んでしまって」
それから詳しく話を聞くと、玉ねぎを大量に食べて死んでしまったということを知りました。
自宅を空けている時にキッチンの下の棚に入れておいた玉ねぎを食べてしまったらしいです。
友人が飼い猫が玉ねぎを食べたことに気づいたのは、かなり遅れてからだったそうです。
帰宅してから猫の様子が少し元気がないな、と感じてはいたそうですが、
猫を飼っている方ならわかると思いますが、猫が少し体調を崩すことはそう珍しくないことです。
この段階で猫の体が急を要することに気付けないのは仕方のないことだと思いました。
ましてや、あまり自炊しない友人だったので、キッチンの異変にも気付けなかったんだと思います。
翌日になってもあまり体調の改善は見られず
“明日も体調が悪いままなら病院に連れて行こう”
そう思いその日を過ごしていたら、猫の容態が急変し、そのまま亡くなってしまったそうです。
その後、原因を探るべく家の中を調べたところ、キッチンの棚の下から複数のかじられた痕跡のある玉ねぎが見つかり、かなりの量を摂取していたことが分かったそうです。
自宅で行える対処法
嘔吐を促す・口を洗浄する
玉ねぎを食べて時間があまり経ってない時には、猫の口に指を入れ舌の奥を押すように刺激し嘔吐を促しましょう。
玉ねぎの成分は、少量でも猫には毒性が高いので猫の口周りを洗浄して下さい。
血尿があるか確認する
猫が玉ねぎを食べたかどうか不明で体調不良を起こしている場合、トイレをチェックし血尿があるか確認して下さい。
血尿があるからといってネギ属由来の中毒を起こしているとは限りませんが、注意するポイントになります。
食材など原因を探る
後にも書きますが、玉ねぎそのものを食べなくても、ネギ属やニンニク等に含まれる猫にとって毒性の強い成分は煮汁などにも簡単に溶け出すので注意が必要な食材や料理は思いの外多いです。
病院での治療
自宅で出来る対処法を紹介しましたが、出来る限り早く病院で診てもらうことが一番です。
基本的に対症療法になりますが、
ビタミン剤投与し、強心剤や利尿剤など投与されます。
重症の場合は貧血を改善するために輸血を行います。
猫にとって危険な食材・料理
食材
・ネギ属の食材
種類としては、タマネギが代表格で他に長ネギ、ニラ、ニンニク、ギョウジャニンニク(アイヌネギ)、ワケギなど。
意外なネギ属としてはラッキョウがあります。
ラッキョウも同様の作用があるため注意が必要です。
料理・食品
先ほども書きましたが、玉ねぎの固形部分を摂取していなくても、ネギ属の入った煮汁を摂取することで中毒症状を起こします。
猫にとって毒性のある成分は、加熱しても取り除くことが出来ず煮汁の方へ溶け出してしまうからです。
食卓に並びやすい料理も多いので気をつけたいです。
少量だと不調を起こしても死には至らないケースも多いですが、実際に玉ねぎを食べて亡くなってしまった猫を見たからこそ、このような悲しい事故の危険性は誰の日常にも潜んでいると強く感じました。
飼い猫の様子には気を配って、異変があれば躊躇なく病院を受診してください。
禁忌食(その1)--タマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康
大島誠之助 1・左向敏紀 21 倉敷芸術科学大学生命科学部
2 日本獣医生命科学大学獣医学部